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今月のたわごと(エッセイ)

【おとうちゃん】

最近色んなことを思い出す。たぶんこのエッセイを毎月書くようになったからだと思う。ふとした事から「ん?あれ?」と、思い出す事が多い。残念ながら、スライドのように、ショットでしかないんだけれど。特に思い出すのは、不思議に『おとうちゃん』のことが多い。


『おとうちゃん』・・・エエ歳をして「おとうちゃん」は無かろう、と思いもするが、私はこの呼び方が大好き。もちろん、『おかあちゃん』も。たまに実家に帰ってこう呼ぶと『子供じゃないんじゃき、やめなさい!』といわれるが、人がいないときはこう呼ぶ(おかあちゃんにも見栄があるやろから人前では『お母さん』にしといた
ろ〜)。愛情があってエエ呼び方やん!関西では『おとん』『おかん』と言う。これもええなあ。愛がある。


たぶん何処の家でも殆ど同じだと思うが、娘は母親との関係が濃い。台所に立つ。掃除をする。買い物をする。近所付き合い。殆ど母親と共に育っていく。そうしていく内に何事においても母親と行動する事が多くなっていつの間にか父親との関係が薄くなっていく。私もそうだった。


『おとうちゃん』と遊んだこと・・・こんな事って考えた事も無かった。もう何十年も。ところが、何年か前のオリンピック。柔道の試合を見ていた。確か「古閑選手」と「吉田選手」が出ていた。面白くて、むちゃくちゃ応援していた。その組み手を見ているとき、「ん?あれ?」と思った。見たことある、これ。知ってる。なんでや?う〜ん…。 あっ!わかった!思い出した。お寺のお堂の前の、広い畳の座敷で『おとうちゃん』と組み手をやった。あれは私がまだ小学生の頃や。うわ〜、これや、これや!知ってる〜〜!これや〜〜!
その瞬間まで全く忘れていた。もしあの時、柔道の試合を見なければずっと忘れていたかもしれない。
ちっちゃかった私は、よく『おとうちゃん』に投げ飛ばされた。その時にぐるっと宙を体が泳ぐ感じも覚えていた。一回じゃあない。何回もやってる。
『おとうちゃんと遊んだ事があったんや』・・・これが私の驚きだった。
それをきっかけにちょっとずつ思い出して来た。「やご(トンボの幼虫)」を採りにいったこと。「蛍」を採りに行った事。「カブトムシ」や「クワガタ」の採りかたを習った事。川に泳ぎに行った事。お墓の掃除に行った事。・・・いっぱいある。全部忘れてた。


最近また色々と思い出す。
私が中学生の頃、私の部屋に友達が来ると、何の用事も無いのに、「おっ、来ちょったんかよ」と、よく入ってきた。もちろん私は「入ってこんとって!」と怒っていた。そして友達が帰ると「おとうちゃんの事、なんか言ってなかったか?」と聞く。
ははは。今思えばかわいい。そんな事は何度もあった。
『おとうちゃん』は近所の店に買い物に行く時、 「おい!200円くれ!」と、おかあちゃんに貰っていく。それをおかあちゃんは嬉しそうにいつも笑いながら言う。「変な人やろ〜」って。ええなあ。でも最近タバコもあがったので、500円になってるらしい。


うちの家には代々猫がいた。寺にはネコは付物らしい。その猫が死んでしまうたびに、裏の山に行ってお墓を作り、自分で木を削って墓標を立ててしゃがんでお祈りしていた。私たちにはさせてくれなかった。お正月やお盆には綺麗に掃除をしてしゃがんでお祈りをしていた。その、しゃがんでいたおとうちゃんの丸い背中も最近思い出した。


『おとうちゃん』のことを最近思い出すのは何故なんやろ?わからん。でも『おとうちゃんとの想い出』があった事が嬉しい。もしかすると、まだまだ忘れてた想い出があるのかも…


あなたにも、そんな想い出がありませんか?
桜を見ながら、仕事の事を忘れて、ちょっとボーっと思い出してみるのもいいかもしれませんね。

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つれづれなるままに日暮し 硯にむかいて 心に移りゆく良しなし事を・・・


みなさんへ

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